どのくらいの妊婦さんが出生前診断を受けているのですか?
今回は日本における出生前診断の受検状況を、海外との比較をふまえてご紹介します。
◆日本における出生前診断の受検状況について
1998年から2016年までを調査した佐々木らの報告1)によると、本邦のNIPTを含む出生前診断受検数(のべ数)は、出生数97.7万件における7.2%、高齢妊婦数27.8万人における25.1%を占めていました。
確定的検査である羊水検査の件数は、1998年の10,419件以降、増加傾向を示していました。
その後、2014年の20,700件を境に減少傾向となり、2016年には18,600件となっています。
これは、2013年から開始されたNIPT(新型出生前診断)の影響であると考えられています2)。
NIPTの導入により、「流産のリスクを伴う確定的検査数を減らす」という本邦のNIPT導入の目的のひとつが達成されつつあるという状況がうかがえます。
その一方、これらの調査は、”NIPTが導入されてから3年間の調査である”という点に留意する必要があります。
今後、NIPTに関する調査・報告が発表された場合には、GeneTechコラムでご紹介させていただきます。
◆海外での出生前診断の動向について
NIPTは2011年にアメリカで開発され、現在はアメリカ、イギリス、フランス、ベルギー、ドイツ、オランダなどで開始されています。
検査対象や公費補助の有無・程度などは、国によって、あるいは同じ国でも地域によって違いがあります。
オランダでは、本邦と同じく臨床研究として実施されていますが、公費負担であるという点が本邦と異なります。
また、本邦では臨床研究から一般診療に移行することが発表されましたが、今後も保険診療の対象外であるため、検査に関する費用は全額自己負担となります。
◇補足
2010年と2011年における欧米における調査によると、出生前診断(主に初期コンバインド検査)の実施率は、デンマーク90%以上、イギリス60%、フランス84%、オランダ26%となっています1)。
この調査からも、出生前診断を受検する妊婦さんの割合は、本邦より高いということがわかります。