出生前診断(確定的検査)のひとつである、絨毛検査についてご説明をしています。
絨毛検査について
出生前診断のうち、それだけで結果が確定する「確定的検査」である絨毛検査についてご説明いたします。
実施できる時期
妊娠11~14週に行われます。
方法
絨毛検査の方法には、経腹法と経腟法の2種類の方法があります。また、医療機関によって実施している方法が異なります。
●経腹法:超音波画像(エコー)のガイドのもと、お腹に針を刺して胎盤の絨毛細胞を採取します【下図】。
●経腟法:超音波画像(エコー)のガイドのもと、膣内に鉗子またはカテーテルを挿入し、胎盤の絨毛細胞を採取します。
経腹法または経腟法で絨毛細胞を採取した後は、その細胞を培養し、染色体の形と数を確認します。
対象となる染色体疾患の種類
絨毛検査では、赤ちゃんの染色体を顕微鏡で観察するため、染色体疾患全般が対象となります。染色体の極めて微細な欠失(一部が欠けていること)や重複(一部が二重になっていること)などは、絨毛検査で検出されない場合もあります。
また、絨毛検査では、基本的に赤ちゃんの染色体のみを検査するため、先天性心疾患や口唇口蓋裂などの全ての先天性疾患が分かるというわけではありません。
検査の精度(感度)
検査の精度(感度)とは、染色体疾患がある赤ちゃんを検査で検出できる割合を言います。ダウン症候群(21トリソミー)の場合、精度は100%です。
結果報告までの時期
医療機関によって異なりますが、約2~3週間で結果報告となります。
なお、絨毛検査を扱う医療機関は少ないため、お住まいの地域では実施できない場合があります。
リスク
絨毛検査の際の穿刺(お腹に針を刺すこと)により、破水、出血、子宮内感染、早産、母体障害(穿刺による血管や腸管出血)などが生じる可能性があります。また、流産・死産が約1/100(1%)の割合で生じるといわれています。
経腹法の場合の流産・死産のリスクは、羊水検査と変わらない、約1/300(0.3%)の割合で生じるとの報告もあります。
胎盤性モザイク(confined placental mosaicism : CPM)
赤ちゃんは正常であるのに、胎盤(絨毛細胞は後に胎盤となります)だけに染色体の変化が生じているという状態を胎盤性モザイクといいます。この状態は約1%の割合で生じるといわれています。胎盤性モザイクでは、絨毛検査で染色体の変化があっても、生まれてくる赤ちゃんは染色体の変化をもっていない場合があります。そのため、妊娠15週以降に実施できる羊水検査で確認を行う場合があります。