先天性疾患のうち、染色体の変化によるものについてご説明いたします。
染色体疾患とは
前回のGeneTechコラムでは、先天性疾患についてご説明をいたしました。 先天性疾患とは
今回は、先天性疾患のうち、染色体の変化によるものについてご説明いたします。
染色体の本数が変化しているもの
染色体の本数が変化していると聞いて、最初にイメージするのは、ダウン症候群かもしれません。
ダウン症候群は、21トリソミーともいい、21番染色体が3本あることを指しています。
トリソミーとは、染色体が通常2本のところ、3本あることを意味します。
この他にも染色体の本数の変化でおこる病気があり、18トリソミーや13トリソミーなどが挙げられます。
ダウン症候群(21トリソミー)、18トリソミー、13トリソミーは常染色体の本数が変化している病気です。
常染色体以外、性染色体における本数の変化もあります。 性染色体は、基本的に男性ではXY、女性ではXXですが、X染色体を1本多くもつ男性(XXY)やX染色体のみをもつ女性(X)もいらっしゃいます。 また、性染色体の本数の変化をもっていてもその方に症状がない場合には、染色体の検査が行われないため、生涯診断されないこともあります。
染色体の形(構造)が変化しているもの
形の変化とは、いったいどのようなものを指すのでしょうか?
代表的な用語とともに、簡単にご説明いたします。
欠失(けっしつ):染色体の一部が欠けていること
重複(ちょうふく):染色体の一部が二重になっていること
転座(てんざ):染色体の一部が入れ替わっていること
逆位(ぎゃくい):染色体の一部が上下逆転していること
染色体の形の変化にはさまざまな種類があります。
さらに詳しく相談したい場合には、遺伝医療の専門家が対応する、遺伝カウンセリングで相談されることをお勧めします。
染色体やDNA、遺伝子についてはこちらで詳しく解説をしています。 染色体ってなに?
みなさんのイメージ通りでしたか?それとも、イメージよりも幅広く感じられましたか?
今回ご説明した染色体の変化はほんの一部であり、そして、そのすべてが出生前診断でわかるわけではありません。
すべての病気がわかる出生前診断というものはないのです。
そのため、出生前診断を受ける場合には、その対象となる疾患について十分理解・納得された上で受けることが大切です。