GeneTechコラム

同じ検査機器、同じ検査試薬なら、検査精度は同じなの?(第三者認証取得の意義について)

出生前検査

同じ検査機器、同じ検査試薬なら、検査精度は同じなの?(第三者認証取得の意義について)

同じ検査機器、同じ検査試薬なら、どこの検査会社でも検査精度は同じと言えるのでしょうか?臨床検査室ごとの精度管理について、ISO 15189(International Organization for Standardization:国際標準化機構、ISO)やCAP-LAP(College of American Pathologists – Laboratory Accreditation Program:米国病理医協会の検査室認定プログラム)などの第三者認証取得の意義を考えてみたいと思います。

少し古い資料になりますが、CAP-LAPの始まりの経緯としては、以下のようなことがありました。

1946年、アメリカペンシルバニア州医師会は、州内の病院検査室で行われる一般的な化学物質の測定精度を確認するための調査を行いました。病理医には調査の目的を説明する手紙が送られ、59の病院から賛同が得られました。この調査の結果では、各検査室での分析誤差は大きく、±10%を満足できる結果としても、これに達しない検査項目が全検査項目の6割を超えており、また全検査の18%は大きく外れた値でありました。その後同様の報告が相次ぎ、1949年から米国病理医協会(College of American Pathologists)が技能試験を定期的に実施するようになりました。現在では世界の45カ国、7,600を超える検査室がCAP-LAP認定を受けています。

検査精度を管理していなければ、検査の品質を保てないことが明らかになった現在では、多くの臨床検査室が検査精度の担保として、ISO 15189やCAP-LAP等の第三者機関による認証を取得するようになっています。ISO 15189では品質と能力に関する要求事項が規定され、これに適合することが求められます。CAP-LAPでは、詳細な要求事項のもとに(検査)品質マネジメントシステムが構築され、維持されていることが要求されます。また、高度な品質マネジメントシステムを担保するための技能試験 Proficiency Test (PT)が義務付けられています。

従いまして、たとえ同じ検査機器、同じ検査試薬を使っていたとしても、きちんと精度管理を行っている検査室でなければ高い検査品質は保てず、ISO 15189やCAP-LAP等の第三者機関による認証を取得している検査所の結果であれば、その結果は信頼できる、ということが言えそうです。

 

参考資料

Laudus N, Nijs L, Nauwelaers I, Dequeker EMC. The Significance of External Quality Assessment Schemes for Molecular Testing in Clinical Laboratories. Cancers (Basel). 2022 Jul 28;14(15):3686. doi: 10.3390/cancers14153686. PMID: 35954349; PMCID: PMC9367251.  https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35954349/