NIPTとは
NIPTは妊婦さんの血液中に含まれる赤ちゃんのDNA断片を分析することで、赤ちゃんの特定の染色体疾患を調べることができる検査です。
正式名称は、Non-Invasive Prenatal genetic Testing(非侵襲性出生前遺伝学的検査)で「新型出生前診断」といわれることもあります。
国内で2013年から2021年3月までの8年間にNIPTコンソーシアムで行われたNIPTの検査数は101,218件でした。
NIPTでは、次の3つの疾患を調べることができます。
- ダウン症候群(21トリソミー)
- 18トリソミー
- 13トリソミー
これら3つを合計すると、胎児の染色体疾患の約70%に相当します。
なお、海外では上記3つ以外の疾患も調べることができる国もありますが、現在国内では日本医学会の指針により、3つの疾患以外は調べることができません。

Wellesley D, et al. Eur J Hum Genet. 2012: 20: 521-526 より作図
NIPTの特長
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従来の非確定的検査と比べて、
精度が高い従来の非確定的検査(コンバインド検査や母体血清マーカー検査)は、コンバインド検査で感度83%、母体血清マーカー検査で感度80%でした。
これに対して、NIPTは感度99%と精度が高く、赤ちゃんの染色体疾患をより正確に発見することができます。40歳の妊婦さん(ダウン症候群:21トリソミーが100人に1人生まれる)の集団の場合
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採血のみで検査ができるため、
流産・死産のリスクがない確定的検査(絨毛検査や羊水検査)は、絨毛検査で1/100、羊水検査で1/300の確率で、流産・死産のリスクが存在します。
これに対して、NIPTは採血のみで検査ができるため、流産・死産のリスクがなく、安全な検査です。 -
妊娠周期の早い時期(妊娠9週以降)
から検査可能従来の非確定的検査(コンバインド検査や母体血清マーカー検査)は、早くても妊娠11週以降でないと受けることができませんでした。
これに対して、NIPTは妊娠9週以降から受けることができ、赤ちゃんの状態を早く知りたいと思う妊婦さんにとっては、よりよい選択肢となります。
NIPTの結果
検査結果は「陰性」または「陽性」で判定されますが、まれに「判定保留」という結果があります。
これは陰性でも陽性でもないという結果で、具体的には、採血した血液中のDNA量が足りない場合や、投薬の影響などで検査結果が出ない場合に起こります。
なお、検査結果が判定保留の場合、再検査を行うことがあります。
NIPTの注意点
NIPTは精度が高い検査ですが確定的検査ではありません。
陽性または判定保留が続いた場合、検査結果を確定させるための検査(絨毛検査または羊水検査)を受ける必要があります。
NIPTにかかる費用
検査費用は約15万円前後です。医療機関によって異なりますので、各医療機関にお問い合わせください。