同じ検査機器、同じ検査試薬なら、検査精度は同じなの?②(スクリーニング検査のカットオフについて)
同じ検査機器、同じ検査試薬なら、検査精度は同じなの?(スクリーニング検査のカットオフについて)
同じ検査機器、同じ検査試薬を使っていれば、検査精度は同じになるのでしょうか?今回のコラムではスクリーニング検査において、測定結果を陽性・陰性と判定するカットオフ(閾値)について考えてみたいと思います。WHO(世界保健機関)のScreening programmes: a short guideにはスクリーニング検査の性能について、以下の記載があります。
スクリーニング検査の性能の測定とは、その検査が、対象疾患を有する人を正しく疾患があると判定すること(真陽性の特定)と、疾患を有しない人を正しく疾患を有しないと判定すること(真陰性の特定)にどれだけ優れているかを示すことです。検査の性能の指標は以下の通りです。
- 感度:スクリーニング検査が、疾患を有する人を陽性として特定する能力
- 特異度:スクリーニング検査が、疾患を有しない人(健康な人)を陰性として特定する能力
検査の閾値とは、スクリーニング検査で陽性(疾患疑いあり)と判定される値と陰性(疾患疑いなし)と判定される値の間のカットオフとして選択される値のことです。閾値を変更することで、スクリーニング検査の感度をより高く、特異度をより低いものにするか、あるいは感度をより低く、特異度をより高いものにするか、変更することができます(参考資料:図1)。
図1: Screening programmes: a short guide. Increase effectiveness, maximize benefits and minimize harmより作図
従いまして、同じ検査機器、同じ検査試薬を使って、分析精度が担保されていたとしても、スクリーニング検査では、カットオフの違いによって感度・特異度が変わりうる、ということが示唆されます。
GeneTech NIPTでは、検査精度を確保するための胎児率カットオフの採用、陽性・陰性カットオフ近辺にグレーゾーンを導入し、必要に応じて再解析を行う、陽性・陰性パラメーター以外のデータも参考にするなどして、検査精度の向上に努めています。 エムスリーWeb講演会のお知らせ:https://genetech.co.jp/news/p683/
参考文献:
Screening programmes: a short guide. Increase effectiveness, maximize benefits and minimize harm https://iris.who.int/handle/10665/330829