どのくらいの妊婦さんがNIPT等の出生前診断(検査)を受けているのですか?
どのくらいの妊婦さんがNIPT等の出生前診断(検査)を受けているのですか?
日本における出生前診断(検査)の受検状況について
国立成育医療研究センター周産期母性診療センター産科医長の佐々木愛子氏らの出生前遺伝学的検査の全国調査によると(1)、2020年(出生数84.1万人)は、以下の受検数でした。
母体血清マーカー | 38,144件 |
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羊水検査 | 11,669件 |
絨毛検査 | 1,762件 |
NIPT | 14,406件 |
確定的検査である羊水検査の件数は、1998年の10,419件以降、増加傾向を示していましたがその後、2014年の20,617件を境に減少傾向となり、2021年には10,433件となっています。これは、2013年から開始されたNIPT(非侵襲性出生前遺伝学的検査)の影響であると考えられています。
NIPTの導入により、「流産のリスクを伴う確定的検査数を減らす」という本邦のNIPT導入の目的のひとつが達成されつつあるという状況がうかがえます。
NIPTを受けた妊婦さんはどれくらいいるのでしょうか?
NIPT(非侵襲性出生前遺伝学的検査)は2013年4月より臨床研究として開始され、その受検者数は増加傾向にあります。2016年(出生数97.7万人)には、出生前診断(検査)を受検した妊婦さんのうち、約13,000人の妊婦さんがNIPTを選択されています。その後、NIPTは日本医学会による認証制度が開始され、NIPT認証施設では、2023年4月1日~2024年3月31日の1年間で40,813人の受検数であったと発表しています(2)。2023年の出生数727,277人から概算すると、約5.6%の方が受けた検査といえます。言い換えると、94.4%の妊婦さんは受けなかった検査であるといえます。
この数字について、「受けている人は結構いるんだな」と感じる方もいれば、「思ったより受ける人は少ないな」と感じる方もいるでしょう。数字の捉え方は人それぞれです。また、妊婦さんとパートナーが抱いている、お腹の中の赤ちゃんや出生前診断(検査)に関する考え方もさまざまです。そのため、検査を受けるかどうか、受けるのであればどの検査にするかなど、検査の前にお二人でじっくり考える必要があります。お二人の悩みを相談できる場として、遺伝カウンセリングがあります。
遺伝カウンセリングでは、臨床遺伝専門医や認定遺伝カウンセラーがお二人が意思決定をする上での疑問や不安を整理し、サポートしてくれます。遺伝カウンセリングをうまく活用して、お二人が納得した選択を行いましょう。
参考資料
(1)子ども家庭庁 第1回 NIPT等の出生前検査に関する専門委員会資料
(2)出生前検査認証制度等運営委員会令和 5 年度(2023 年度)実施状況報告